こんにちは。 河合建築事務所・河合です。
あったかハウス河合建築事務所が診断した住宅の不具合と、診断、そしてリフォームを、1件ずつ事件簿風に書き記しています。
長くおつきあいくださいませ!!
第7回目は「断熱を過信した寒い家」
三角屋根が特徴的。ちょっと和風な印象があるすてきな外観のおうちです。
断熱性能は、外壁が柱の外側にも断熱材を張った16cm厚の高断熱仕様です。
断熱性能が高いため、セントラルヒーティングの放熱器を減らしたようで、特に2階にほとんど放熱器を設置していない状態でした。
セントラルヒーティングの場合、放熱器の配置は、一般的に1階が7に対して2階が3くらいと言われています。これは、温かい空気は2階に上昇するため、2階が少なくても良い、という暖房設備店の経験によるものです。
断熱性能が高くなると、熱の逃げがより少なくなります。このため、セントラルヒーティングの放熱器を減らしたり、暖房ボイラーを小さくすることがあります。ただ、このお宅は、放熱器を減らしすぎたようです。
最初のお電話は、「2階がちょっと寒いんだ」ということでした。
調査に行き、暖房費がどのくらいかかっているか、1階の寒さはどうかを尋ねたところ、断熱性能に問題があるようには思えませんでした。暖房費は比較的割安に収まっているし、1階はとても快適だそうです。
だとしたら、原因は2階の放熱器が足りないと判断しました。
このお宅はパッシブ換気・床下暖房を採用し、新鮮な空気を暖めて床下から1階に自然に上昇させ、2階も同様に床から空気が上昇するように床にスリットを設ける工夫がされています。壁に露出した放熱器はありません。
before/1階から2階床のガラリを見上げたところ。穴が開いているだけで放熱器はない
ガラリの下に放熱器を設置した状態
これで終わりではありません。配管を隠し、放熱器も見えないように、これから目隠し工事を行います
既存の暖房配管を利用して、放熱器は2階床の直下にある1階天井に設置し、その後放熱器が1階から見えないように目隠しをしました。
また、2階床下に設置できない部屋は、普通に壁付けしました。
配管が見えている状態から・・・
柱と同じ木、天井と同じ合板で目隠しをしました
今回の教訓・・断熱性能の過信は禁物です。
お庭がキレイに手入れされていて、癒されました!!