札幌で中古住宅の購入前にインスペクションをおすすめする理由

こんにちは。

あったかハウス河合建築事務所の公式ホームページが完成して、これまで以上に多くの皆さまに、住宅のお困りごとで声をかけていただけるようになりました。

本当にありがとうございます。

 

そのなかでも特に多くのご相談をいただいているのが、中古住宅を購入する前や、購入したあとに「建物をチェックしてほしい」というご相談です。

 

「リノベーション」という言葉が広く知られて、多くの皆さんが「中古住宅をリノベーションしたい」、「リノベーション済住宅を購入したい」とお考えになっているようです。このことは、とても素晴らしことで、古い住宅の価値を再発見し、大切に使うライフスタイルは、自分自身がこれまでやってきた仕事のゴールです。

 

「それなら何の問題もないですね。河合さんに購入する(購入した)中古住宅の検査をしてほしいです」というご相談はとてもうれしいのですが、案外簡単には解決できない問題が横たわっています。

それは、

1.改修できる住宅なのか(買ってはいけないヤツ)

2.リノベ済住宅だけど寒さが改善していない(内装や水回りだけをキレイにした家)

この大きな2つの問題は、最終的に「断熱や耐震など性能向上リフォームにかかる費用」がかなりの額になる、という問題に行きつきます。

1.買ってはいけないヤツ

不動産屋さんは建物、基礎、地盤の状況をあまりよく確認せず、中古住宅の売買を仲介します。不動産屋さんの仕事は、土地や中古住宅の販売を仲介したり、賃貸の仲介をすることですから、取引についてプロですが、建物の性能と地盤状況については詳しくない人が少なからずいます。

例えば、宅地造成規制区域の売買仲介は、規制がかかることを不動産情報として載せなければなりませんが、すでに土盛りや擁壁があった場合、それがじゅうぶんな強度を持っているかどうかを見極め、購入希望者に説明する義務は、法律上ありません。

その地域の地盤が悪く、とても深い杭が必要だったとしても、それを明示する必要もありません。

建物にあるひび割れを検査し、それが軽微な欠陥か重大な欠陥の可能性があるかを調査する義務もありません。

つまり、安全性などの面から、買ったあとにすごくお金がかかる可能性がある中古住宅でも、そのことを説明する必要はないのです。しかし、それでは安心して中古住宅を購入することはできませんね。

そういった背景があって、国は中古住宅検査員(インスペクション)という制度を整備しました。物件を購入する前に、専門的知識と経験を持つ人(検査員・インスペクター)に建物の状況を技術的観点から検査し、その状況を購入予定者に報告する制度です。

 

私・河合は、物件の購入を決める前に、まずインスペクションすることをおすすめします。そしてその報告を参考に購入するかどうかを決めて、それからご相談にいらしてください。ずいぶんめんどうなことをお願いするようですが、いちど検査を終えて河合のところに来ていただければ、建物や土地の状況をおよそわかった上で最善の方法をいっしょに考えることができます。

2.リフォーム済中古住宅(リノベーション住宅)を購入してからでは遅い

きれいにリノベーションされた中古住宅を購入してから2年ほどが経ち、「寒くてたまらない」「地震が来たら心配だ」と相談にみえる方も多いです。私・河合は住宅の現状を調査し、断熱・耐震リフォームのお見積もりを出したり、なかには改修に膨大な費用がかかるため手放すことをご提案する場合もあります。

相談者は購入時に中古住宅購入ローンを組んでおり、ほとんどの場合は、断熱・耐震リフォームのために新たに住宅ローンを増やすことができません。中古住宅を購入してから数年たって直すのは、金銭負担面でなかなか難しいのです。

 

そもそも、購入した中古住宅が断熱性能も耐震性能も改善されていないことを知らずに購入契約をしてしまっている例がほとんど。

購入時には、内外観がきれいになっているからと早合点したり、「まだまだちゃんと住めます」といった不動産屋さんの言葉を『性能も向上している』と拡大して思い込んだり、『リノベ済』という不動産情報を信じすぎているからです。

 

違法増築されていたら、けっこうヤバイです

調べてみると、新築時と間取りが変わっている事も少なくありません。間取りが違うだけならまだいいのですが、役所に届けを出さず(確認申請をしていない)違法に増築していると、建ぺい率、容積率がオーバーしている可能性があります。それを確認するためには、住宅の確認通知書、検査済証をみる、確認通知書、検査済証があることが大切です。

みょうに販売価格が安価だったりする場合は特に注意が必要です。ヘタをすると、増築ができない場合もあります。

中古住宅の購入前に検査して、それから来てほしい

この程度の説明では不足かもしれませんが、中古住宅を購入する前には、信頼できる検査員にお願いしてインスペクションをしてもらったほうが良い理由が少しわかっていただけたでしょうか。立地や周辺環境は不動産屋さんの説明で十分だと思いますが、建物の耐震・断熱性能については慎重に判断してほしいです。

 

「正常性バイアス」という言葉があります。地震や火事の際、『自分だけは逃げなくても大丈夫』と危険性を過小評価してしまう人の心の特性です。中古住宅の購入を検討する際にも、正常性バイアスが働いてしまっているケースが少なくありません。すでにその中古住宅がほしくなってしまい、耐震性などのリスクを過小評価してしまう、その結果、買ってはいけない物件を購入してしまう。

そうなる前にインスペクションを依頼し検査結果を冷静に見ることをおすすめします。

 

インスペクションについては、国土交通省のこちらのページも参考にしてください。

https://www.mlit.go.jp/common/001219900.pdf