新型コロナウイルスの感染拡大で、仕事の遅れも想定内として、仕事を進めなければならなくなってまいりました。
河合自身は感染予防をしっかり実施して元気に仕事をしておりますが、仲間の工務店では、外注工事業者が濃厚接触者となった影響で、工事が一時ストップしたそうです。
さて、今回ご紹介するのは、原因がわからない雨もりです。
原因不明なのですが、明らかに雨もりしている。
●症状●
2階・子供室の天井がいつの間にか下がって膨らんでいる。よく見てみると、クローゼットの天井も膨らみ、トイレ壁の上の方には黒いシミのようなものもある。さらに、バルコニーの天井にもシミがあるのに気が付いた。
2階バルコニーの屋根(下屋)と大屋根の間のサイディングが変色していることも確認。
被害範囲がずいぶん広いのです。
●調査●
天井点検口より覗いて見たが、原因らしきものがわからなかった。
10年瑕疵保証期間内という事で、調査員さんが赤外線カメラで調査をしてくれた。水漏れしている位置は理解できたが、浸入口がわからない。
屋外に出て外から目視確認したところ、軒天の一部が外れていたのに気づき原因がここだと確信した。
●所見●
問題はなぜ軒天ボードがはがれたのか。単なる止め付けミスがあったとしても、風であおられない限り、軒天ボードが飛んでどこかに行ってしまうという状況にはなりにくいはず。風が強いこと、そして軒天ボードの止め付け部分に水が回り、止め付けがゆるんだと考えられました。
風がどこから小屋裏に入っているかですが、窓の上に設ける通気穴から浸入していると考えられます。普通の市街地ではまったく問題にならなくても、風の強い地域では、窓の上や軒天から風が吹き込んで悪さをすることがあります。今回も1つはそれでした。
問題はもうひとつありました。下屋部分の屋根板金の細かいつくりが悪く、水が壁の中に入りこんでいたようなのです。
この部分です。接着ノリのようなコーキング材でサイディングとの接点を盛っているので、一見すると水なんか入らないように見えますが、じつは入ります。その証拠に、サイディングをはがしたら、通気胴縁と呼ばれる木材に、水に濡れた痕跡がありました。
●工 事●
1.軒天材の貼り替えをする前に、通気シートを張り、その下に軒天材を張った。さらに板金カラー鉄板を下屋の板金の接点から棟まで一枚でビス止めした(見積もりに無い事)。
2.バルコニー窓の上に空いている見切りの開口をふさがず、少し通気しにくくする部材を施工するとともに、万が一、水が吹き込んだときに水を逃がすため、下端のコーキングを数か所切って穴を開けた(見積もりに無い事)。
3.板金の細かい作りの悪さ(水返し)を撤去し、改善した水返しを設置してサイディングの裏側に水が回るのを改善した。
もちろん、シミができた室内を直し、断熱材も入れ直しています。
●教訓●
ひと言で言えば、雨仕舞の悪さですよね。問題は何ヵ所もあった。海岸地方など風の強い地域では風や雪の吹込で問題が起きる、というのは業界関係者の間でひそかに言われている「あるある」です。ただそれだけではありません。板金工事の悪さもあります。
こういったことは、建てる前にはわからないことです。