壁のなかにアリが住む家の断熱リフォーム(気流止め改修)

河合のリフォームノート13

北広島市内に建つ1988年(昭和63年)に完成した建売住宅の断熱改修を、21年の5月に工事しました。築33年の建物です。

お客さまのお話では、

  1. 家全体が寒い
  2. キッチン下から風が来る
  3. 1、2階和室の窓上から蟻(アリ)が出る
  4. 1階和室の窓上から木の粉が出てくる、畳が冷たい
  5. 階段前のホールの床がぶよぶよになる
  6. バルコニーの床のスノコがベコベコだ

写真のように、床とグラスウールの間に風が入る構造ですから、断熱材はまったく効果を発揮していません。

 

寒いだけでなく、壁の中の木が腐っていたり、雨水が壁内に浸入していることが予想され、かなりの補修個所がでてきそう。

まず、いつもの気流止めです。

 

写真は、外部から工事できない部分を、床をはがして室内から工事した場所になります。

室内の間仕切壁は、いつものように壁の下を切って、気流止めを挿入していきます。

 

アリの出現により現場は衝撃が走る!!

《注意》虫が苦手な方は、この先の画像・映像をご覧にならないことをお勧めします。

問題はやはりここでした。

屋根(2階の屋根と区別するため下屋・ゲヤと呼びます)からの雨水が壁の中に回り込み、木が腐っているのでは、と想像されます。

サイディングをはがし

黒い紙(建築紙)をめくってみると、ボード材に穴が開いているように見えました・・

建築紙を切り取ってみました。何やら悪い予感・・

そして、下のサイディングをはがしてみると、

なんだかとってもマズいことになっています・・

ボード材(シージングボードといいます)を撤去し、グラスウールもめくりあげました。柱は傷んでいますが、室内側の木は変色もなく大丈夫そうです。

ただし、シージングボードの中には、なんとアリが住んでいたのです。

アリの巣1 (動画です)

ari02(動画その2です)

本州に広く生存し、家を倒す力もあるといわれるシロアリではなく、普通のアリ、クロアリです。クロアリは木材を食べることはないそうですが、腐った木材のなかに巣を作るので、木質繊維でできているシージングボードはかっこうの「すみか」になっていたようです。

生まれ変わったお宅がこちら。

この冬はあたたかく暮らすお客さまのお話を紹介できればと思います。

 

最後に

工事中に発見された問題と解決策の一部をまとめておきます。

蟻の巣の発見             → 撤去(アリの薬剤で対応)

柱の腐れ               → 新たに柱を添えた(ボルトで縫った)

屋根の形状変更            → 雨仕舞の改善

出窓の断熱材不足           → 天端の下に発泡断熱材を三重張り

下屋の気流止めで外部からできない部分 → 2階部屋の床を外し内部より気流止め

破風板の腐れ             → 交換

玄関ポーチ柱金物腐れ         → ステンレス2.3mm厚で制作して交換

バルコニー手摺            → アルミに交換

玄関ドア               → 断熱ドアに交換

耐震補強               → 耐震金物・構造用合板の施工

床下の冷気止め            → 断熱材を撤去しウレタン100mm吹付

サッシ交換              → 樹脂LOW-E&ガス入り

ガラス交換              → LOW-E&ガス入り

屋根板金の張替え           → 貼り替え

全体の気流止め            → 小屋裏の施工が狭くて大変

サイディング交換           → 金属サイディングに