きっかけは数年前にさかのぼります。
内装だけを新しくした中古住宅を購入し住んでおられたMさま。家がとても寒いということでお問い合わせいただき、現地調査にまいりました。
購入された中古住宅は、昭和50年代後半・西暦1980年代の建物で築40年程度。
昭和50年代(1980年代)の建物の特徴と注意点
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- 「暖かい」を実現する気密工事がしっかりされている住宅は、おそらく200軒に1軒くらいで、暖かい家が手に入る確率としては非常にレアです。
- 耐震工事がしっかりしている家は、さらに確率が低いですが、当時なりにちゃんと工事している建物はあります。また地震で大きく揺れるかどうかは、地盤がいいかどうかがおそらく最も影響が大きいので、耐震工事が不十分=地震で大きく揺れる、とは言えません。
- 内装がキレイになっているから、耐震性能や断熱性能も新築並みだと思い込んではいけません。むしろほとんどの住宅が性能向上に必要なリフォームをしていません。そこは注意してください。
お宅を調査した結果、特別に性能が悪いということではないのですが、築40年の家の共通問題として耐震性や断熱性能が不足していました。
これから必要になる家のメンテナンスを考えると、選択肢は2つあるとボクは感じました。
- 断熱リフォームして暖かさと耐震性を高める
- リフォームせずに売って、状態のいい中古住宅を探して購入する
Mさまはまだお若いので、2の『そのまま売るほうがいいと思います』とアドバイスしました。
それから2年ほど経った2月ころに「良さそうな中古住宅を見つけたのでいっしょに見てほしい」とMさまからご連絡をいただきました。そして、その物件を購入する前に、見させていただきました
家の図面を見ながら軽く調査した結果-
平成12年(2000年)に建てられた建売住宅(当時築21年)で、耐震性や断熱・気密性に関してまあまあ問題ない、購入しても大きく費用がかかる心配がない建物だと思われました。
Mさまは前の家を売ってその物件を購入され、1年後の昨年、エネルギー価格の高騰で暖房費が非常に高くなることを見越して、電気ヒーター式の暖房ボイラーと給湯ボイラーをヒートポンプ式ボイラーに交換しました。
新しいヒートポンプボイラー ↓
電気ヒーター式の暖房ボイラーは、2023年の1月に暖房費だけで10万円を超えたお宅が続出したとても電気代がかかるボイラーです。ヒートポンプは効率よく熱をつくる仕組みで、ヒーター式のおよそ2倍以上の効率があります(札幌とその周辺の場合)。使用電気量は半分になるので、暖房費がおおむね半分になります。
ヒーター式の電気ボイラーとその交換については、こちらの施工例に詳しく説明しています。https://attaka-house.jp/works/works-833/
購入前のチェック項目6選
- 改修できる住宅なのか(買ってはいけない物件かもしれない)
- リノベ済住宅だけど寒さが改善していない(内装や水回りだけをキレイにした家)
- 外壁-モルタル壁は極力避ける(窓周りがひび割れて雨水が壁の中に染みこみ柱を腐らせている可能性が高い)
- 断熱材-壁・床とも断熱厚さが100mmでも密度が低い断熱材は再利用しにくい.天井はブローイング以外だと再工事になる(仕様書を見て密度10kgと書かれていたらNG)
- 窓(サッシ)-アルミサッシは結露を起こして壁の中の柱などが腐っている可能性が高い(洋室は樹脂サッシに交換済でも小さい窓はアルミのままのこともあるので注意)
- 特に昭和50年代~62年頃までの建物-隙間風が入ってくるので注意(レンジフードを回してサッシや床と壁の取合いに手を当ててみる)
1については、土盛りや擁壁の強度、建物にあるひび割れが軽微か重大かなどについて、現場を見て推測する必要があります。
2についてはMさまの例のように、断熱も耐震も改修しようとすると、それなりに大きな費用がかかります。
3から6についてもかなり専門的ですが、知っておいてほしい重要項目です。
内装や新品の設備以外は、専門的な知識によって状態を判断する「目」が必要です。
チェック項目については、次のブログも参考にしてください。
https://attaka-house.jp/2020/02/blog-490/
中古住宅の購入前に、ぜひ、河合に相談してください。